短歌3(2019年~)

 

「舞えや舞え イチョウの葉より 冬始まり 足を止めては 再びゆこう」 

 

「扉奥の 見えぬ暗さは 不安だが 時計の針は 目盛り一つ進み」

 

「破天荒に 暮らしたいとは いかないが 風変わりにはと 日々思う、どうこれ?」

 

「涙目の あの子は玉ネギ 刻んだり  しながら母の ことを思いて」

 

「ビッグなる ポテトチップを むしゃる夜 指に付く塩を 舐め床にもぐるよ」

 

「大人には コーヒーと酒など 正義なる 味方がいるのだ ガブリ飲み干して」

 

「仕事が為 検定受験の 用のある 自習室帰りの 缶コーヒー熱き」


「幸せを 願う人いる クリスマス だと言いたかった 早く帰宅せねば」

 

「就職は ドクターストップで 先見えず 嘆く手にカメラ 悲し心にペン」

 

「雨の日の ココアフロートは なぐさめた 鬱々とした席の 周りにぎやかで」

 

「割れた皿は 接着剤でも 戻らんが 人と人なら どうにかならんか」

 

興味だけ 津々うわつく 一本木 枝葉は広がる 芯一つから」

 

「この町の こんもり山は 越えたいと 向こうにあるのは また苦楽の日々か」

 

「昨日(さくじつ)は あれこれありて パスタ麺を ツルッと飲み込む ように寝につき」

 

「あちらから 見ればたいした ことで無く こちらから見れば 曲がりくねりの」

 

「私んとこ あいつがとうとう 停めに来た 駐車場の壁は BlueからRedに」

 

「天井の 模様知り尽くす 人は過去に 床に伏せがち だったのだろうか」

 

「過去ひいた 黄色の蛍光 マーカーの 薄らいだ色味に 悲しみもいつか」

 

「帰るねと 言えばミカンを 持たせ父 無事を祈ると 振る手でっかく」 

 

「いつもなら 入れないミルクを コーヒーに 入れる帰省より 戻り、付ける暖房」

 

「お雑煮の 牡蠣はゆらゆら 揺れるようで 新幹線の 切符握り締め」

 

「あの家の ランプ明るく 見えるにも それぞれにある 事情や都合など」

 

「あの魚 泳げど泳げど 着くかしら 向こう岸にある パラダイスまぼろし」

 

「夕暮れに 船がゆくのは 土地と土地を 結ぶそれだと (^人^)と(^人^)の不思議」

 

「待ち合わせで 駅時計の針 見ていました とことん喋ろう と、彼女を待つ家や」

 

「一本気に 打ち込む姿に ホロホロと 彼の勇姿が 再起動のキー」

 

「レンズの先 雨は宝石を くれるよう 傘を忘れても 帽子が守るよ」

 

「極の曲が いらっしゃいませと 呼びに来た ご縁だご縁だ いずれiPodに」

 

「きのこピザを 手にして私 手放した 取り分け上手の 取り立て気取りのない」 

 

「皿うどんに 加熱餃子をと 加速させ ラー油を垂らす 時点で気付く嘘」

 

「雨上がり チーズバーガーは 急ぎめに 腹溜まれるば いざ出陣と勇み」

 

「雨上がり 腹に決めたる 意の表れ ドアを開くなら 泣くように笑む彼」

 

「寄り添いて 二人がお喋り する度の たわわな話が 扉開くやも」

 

「ひと葉舞う 終わってしまう 季節にも photoになるだろう ならば撮るだろう」

 

「文字と文字 さよなら影よ ワルツ流し 弾んだ冬日に Amazonを覗きこむ」

 

「衣のままで 横になりては 朝を待つ 吹っ切れたなら 跳ぶ為の支度を」

 

「お腹空き 食べれば満たされ また空いて 空想ならば 終わりがあるのに」

 

「彼のこと ダブルソフトの 食パンと ジャムるは苺の ジャム的に思うよ」

 

「写真越し 君の背中は 哀しげで 晴れ晴れる空に 癒えたらと願い」

 

「ガムッ噛み ミントの魔法で 抜けてゆく 邪念よ、さらば 紙でくるんでポイ」

 

「寒いとも 冷えるとも言わず 椿花 思いはあろうが 咲くに忙しかろう」

 

「ケチャップと 辛子の関係 相性よし 店に流れる ジャズは優しき」

 

「時代はもう 令和2年だ ついて来い ついて行くわの 関係でいたい」

 

「煉瓦(レンガ)奥の 美容院から 招かれそう 伸ばし髪の女 訳有りと札(ふだ)下げ」

 

「魚まで 涙こらえて 上向いて 注射の前に 飴をくれた祖父かな」

 

「寒き日に 出し頂ける スープやスープ 分岐点だね ゆこう、もう温か」

 

「空きっ腹 満たそうとして 撮りに出る 内から出ずる ものと闘い」

 

「背丸めて トボリ歩く日 続くなら いっそ帰ろか やはりいかんぜ」

 

「ストローで すくうように飲む 苦きもの 砂糖もミルクも 要らんよと笑う」

 

「道端の 花は優しげ 春を待ち 令和2年の 道はどうゆく」

 

「女の子 らしくねと父が 飾る花 眺め育ちて 未だ花の名知らず」

 

「怪獣が 吠えたあとには 草むらの ビビリの顔した 芽が出て春」

 

「3匹の 魚が泳ぐ 青いプール に見立てた花が 色違いだと騒ぐ」

 

「ようこそと どこでもドアが 出現し Nikonを向ければ 無限ワールドへ」

 

「シェイクの日 私は甘みを 求めていた 辛みはゼロ そっとLINE開いた」

 

「二羽鳥が 紅い空に鳴く 帰りたい 時過ぎて今 仕方ないこと」

 

「気丈たれ 焼きカレーパンには 詰まってる 棚のアトムが 行って来いと手挙げ」

 

「恐らくは アメリカロックの 流るる店 にてiPhoneに 込める短歌」

 

「令和2年 世界がピンチだ 日本にて 願う収束 崩れても信ずる」

 

「3月に 降るは冷たき 雨雨雨 座り込む椅子の 木は温まり」